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歴史

　タムデュー蒸溜所は、1897年にスコットランドのスペイサイド地方で創業しました。ウイスキー人気が高まっていたヴィクトリア時代、業界の専門家たちが「理想のシングルモルトを造る」ことを目指して設立したのが始まりです。設計を手がけたのは、蒸溜所建築の第一人者チャールズ・C・ドイグ。最新の設備と、自然の傾斜を利用した効率的な重力式構造を備えた蒸溜所が完成しました。
　創業以来、タムデューはブレンデッドウイスキー用の原酒として高い評価を受け、「フェイマス・グラウス」など有名ブランドに供給されてきました。しかし、シングルモルトとしての個性を打ち出す機会は長らく限られていました。
2010年には一時的に操業を停止しますが、翌2011年、独立系企業のイアン・マクロード・ディスティラーズによって買収されます。そして2012年、タムデューは新たな姿で再始動。「100％シェリー樽熟成」にこだわったシングルモルトとして生まれ変わり、豊かな香りと深い味わいが世界中のウイスキーファンから注目を集めるようになりました。
　伝統を受け継ぎながらも、品質への情熱と妥協のない姿勢を貫くタムデューは、今もなお進化を続けています。

特徴

　タムデュー蒸溜所は、スコットランドのスペイサイド地方に位置し、伝統と品質を重視したウイスキー造りで知られています。特に「100％シェリー樽熟成」という強いこだわりが最大の特徴です。
　蒸溜にはスペイン産のオロロソ・シェリー樽（ヨーロピアンオーク）を使用。これにより、タムデューのウイスキーには、ドライフルーツ、ナッツ、スパイスといった芳醇で奥深い香りと味わいが生まれます。通常、多くの蒸溜所がリフィル（再利用）樽を併用する中で、タムデューはファーストフィルの樽にもこだわり、濃い琥珀色と重厚な風味を実現しています。
　蒸溜所は、自然の傾斜を活かした重力式設計を採用しており、原料や製品の移動に自然の力を活用する、効率的かつ環境にやさしい構造となっています。また、伝統的な銅製ポットスチルを使い、長時間かけて丁寧に蒸溜を行うことで、豊かなコクと滑らかさを兼ね備えた酒質が生まれます。
　タムデューでは現在、定常的なビジターセンターの運営はしていませんが、年に一度開催される「スペイサイド・ウイスキーフェスティバル」などの特別なイベント時には、一般向けに蒸溜所が公開されることもあります。
華やかさよりも本物の品質を追求するタムデューは、特にシェリー樽熟成を愛するウイスキー愛好家にとって、欠かせない存在となっています。

ラインナップ

　●タムデュー 12年：ファーストフィルとリフィルのオロロソ・シェリー樽で熟成。レーズン、バニラ、ベリー、軽いスパイスの香り。シェリー樽の魅力を手軽に楽しみたい方へ。
　●タムデュー 15年：ドライフルーツ、ナツメグ、ビターチョコのようなニュアンス。長い余韻が魅力。少し贅沢なシングルモルトを探している方に。
　●タムデュー 18年：シルキーな舌触り、深みのあるシェリーフルーツ、オーク、スパイス。熟成感を重視するシェリー派の方に。
　●バッチストレングス：各バッチで風味が微妙に異なり、濃厚でパワフル。シェリーの深さが際立つ。ウイスキーの濃厚な個性をダイレクトに楽しみたい上級者向け。
　●タムデュー 50年：1963年蒸溜、2017年に100本限定でボトリングされた希少な長期熟成品 。極めて濃厚なシェリー香と複雑な熟成感。コレクターズアイテム。

　タムデューは、エントリー向けの12年から超長期熟成の50年まで、シェリー樽熟成の奥深さを幅広い表現で楽しめるラインナップが魅力です。特に「バッチストレングス」シリーズは毎年の風味の違いも楽しめるため、ファンが多いシリーズです。